連載 遺族の声を臨床に活かす ~J-HOPE4研究(多施設遺族調査)からの学び~ 【#14】
鎮静と死前喘鳴 【付帯研究37】持続的な深い鎮静は患者・家族間のコミュニケーションを減らすか(吉田詩織,横道直佑) /【付帯研究39】遺族が認識する死前喘鳴に対する吸引処置に関連する遺族の体験に関する調査(南 理央)
pp.773-777
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_773
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付帯研究37
持続的な深い鎮静は患者・家族間のコミュニケーションを減らすか
吉田 詩織*1,横道 直佑*2
*1Shiori YOSHIDA:東北大学大学院医学系研究科 がん看護学分野,*2Naosuke YOKOMICHI:聖隷三方原病院 緩和支持治療科
はじめに
終末期がん患者は,せん妄や呼吸困難等の治療抵抗性の苦痛症状が出現した場合に,鎮静を実施することがある.鎮静は,患者の苦痛の強さと治療抵抗性の確実さや予測された生命予後を鑑みて,相対的に最善と判断された場合に実施される.日本国内7施設の緩和ケア病棟で鎮静を受けたがん患者の遺族を対象にした調査では,鎮静を受けた50%の家族はコミュニケーションができなくなることにつらさを抱えている実態を報告している1).
付帯研究39
遺族が認識する死前喘鳴に対する吸引処置に関連する遺族の体験に関する調査
南 理央*
*Rio MINAMI:東北大学大学院医学系研究科 博士後期課程
はじめに
死前喘鳴とは,患者が亡くなる直前(死亡数時間前から数日前)に生じる症状の一つで,呼吸の際に喉の分泌物が振動して起こるゼイゼイという呼吸音である1).患者の死前喘鳴は,そばで見守る家族にとって「つらい体験」となることが報告されている2).しかし,死前喘鳴の強さと家族のつらさの関係については明らかになっていない.
また,死前喘鳴の対処として吸引処置が行われることがある.しかし,死前喘鳴に対する吸引処置が家族にとってどのような経験・気持ちなのかに関しての報告はない.
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