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がん患者に対応する看護師が臨床場面で高頻度に直面する症状と対応に苦慮する症状
当センターの若手看護師が臨床場面で直面するがん患者の症状を把握するために,教育担当者が作成した症状リストをもとに,若手看護師を対象に対応に苦慮する症状と対応が困難ととらえている症例を聞き取った.次に管理者(看護師長と副看護師長)へ臨床場面で高頻度に直面する症状(倫理的視点を含む)を聞き取った.その後,聞き取った症状を整理するために,がん分野の専門的知識経験を有する認定看護師,専門看護師,研究所看護師に助言をもらい,看護師が臨床場面で対応に苦慮する症状リストを作成した(表1).
症状は,手術療法・薬物療法・放射線療法,がんそのもの,終末期・臨死期の項目に分類し,症状の内訳は手術療法による症状23症状,薬物療法による症状41症状,放射線療法による症状26症状,がんそのものによる症状43症状,終末期・臨死期の症状23症状であった.
この症状の中でも,がん治療を受ける患者の看護に携わる卒後1~3年目の看護師が,とくに対応に苦慮している症状について,多い症状を整理した.まず,2021年10月に卒後1年目看護師と卒後2年目看護師(計27人)に症状リストをもとに「日々の看護で対応が困難である症状(複数回答)」について質問紙による調査を行い,2022年6月に卒後2年目看護師(25名)と卒後3年目看護師(21名)に「対応がもっとも困難と感じる症例(症状,疾患,困難と感じる具体的場面について)3例」の調査を行った.
症状リストから卒後1年目,2年目の看護師が対応困難であると回答した症状の上位は,表1のとおりである.そのうち,卒後1年目看護師の対応に苦慮する症状は,全体にばらつきがあり,突出した症状は挙げられなかった.一方,卒後2年目看護師では7症状,薬物療法では21症状,放射線療法で4症状,がんそのもので15症状,終末期・臨死期で14症状が突出した症状として,合計61挙げられた.これらの症状の特徴としては,薬剤や非薬物療法での対応方法の知識が少ないことによって,対応に苦慮すると選択された症状がほとんどであった.
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