Japanese
English
短報
嘔吐恐怖症状とfluvoxamineの副作用の鑑別に苦慮した1例
Antidepressant-induced Nausea Accompanied with the Fear of Eating in Public
森山 泰
1,2
,
村松 太郎
3
,
加藤 元一郎
3
,
三村 將
4
,
鹿島 晴雄
3
Yasushi MORIYAMA
1,2
,
Taro MURAMATSU
3
,
Motoichiro KATO
3
,
Masaru MIMURA
4
,
Haruo KASHIMA
3
1前・陽和病院精神科
2大泉病院精神科
3慶應義塾大学医学部精神神経科
4昭和大学医学部精神神経科
1Yowa Hospital, Tokyo, Japan
2Oizumi Hospital
3Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
4Department of Neuropsychiatry, Showa University School of Medicine
キーワード:
Social phobia
,
Eating in public
,
Fluvoxamine
,
Side effect
,
Depression
Keyword:
Social phobia
,
Eating in public
,
Fluvoxamine
,
Side effect
,
Depression
pp.35-38
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101762
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
対人恐怖と社会恐怖(社会不安性障害)は,従来診断か操作的診断といった違いおよび,前者が本邦の遠慮,非言語的コミュニケーションに大きく依存している文化と関連のある文化結合症候群である点などが異なる7,9)。一方で,臨床症状ではこの2つはおおむね重複3,7)するが,重複しない部分もある。これらについて,笠原3)は,重複しない部分のうち,前者に含まれるものとして,重度対人恐怖・思春期妄想症といった従来の境界例を,さらに後者に含まれるものに,嘔吐・頻尿恐怖などを挙げている。
この嘔吐・頻尿恐怖群と関連して,本邦における対人恐怖での不安の身体表出としては,赤面,手の震え,表情のこわばりなどの交感神経刺激症状が一般的な症状とされていた14)。しかしICD-1017)では,社会恐怖における不安の身体表情としての赤面や震えに加え,吐き気や尿意など,これまであまり注目されなかった身体症状にも言及している。多田と小島14)はこれらの嘔吐・頻尿恐怖群と古典的な対人恐怖群とを比較し,前者では後者と同様,批判に対する過敏さ,社交状況の回避,低い自己評価など対人恐怖一般の特徴を呈することを報告している。一方で前者では,後者と比較して不安時の交感神経系の刺激症状が穏やかであること,心身症的側面も備えていること,自分の欠陥が他者に迷惑をかけるといった対他的影響への懸念はみられないといった相違点を挙げている14)。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.