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付帯研究1
社会経済的地位ががん患者の治療選択・望ましい死の達成および遺族の精神的健康に与える影響
青山 真帆*
*Maho AOYAMA:東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
はじめに
社会経済的地位(socio-economic status)と健康問題については,死亡率や循環器系疾患のリスクの上昇,メンタルヘルスの低下,BMI・血清コレステロール値・HbA1cなど健康リスクファクターとなりうる指標の悪化など,医療のさまざまな分野において関係性が明らかになっている1).しかし,終末期医療に関しては社会経済的地位がそのアウトカムである望ましい死の達成度や遺族の精神的健康状態などに与える影響ついてほとんど研究が行われていない.社会的には経済格差の拡大も問題となっているなか,がんに対する医療費は増加傾向になり,国民皆保険制度を取り入れているわが国においても,がん患者自身の経済負担も増大しており2),社会経済的地位が健康問題に与える影響は無視できない問題である.
付帯研究23
進行がん患者が食べられなくなったときの経静脈栄養水分補給に関する家族の信念と認識
細川 舞*1,天野 晃滋*2
*1Mai HOSOKAWA:岩手県立大学看護学部,東北大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程/がん看護専門看護師
*2Koji AMANO:国立がん研究センター中央病院 緩和医療科
はじめに
日本緩和医療学会では2013年に『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン』を発行している.その中で,終末期がん患者には経口摂取の減少は高頻度にみられる症状であるが,これに際して実施される人工的水分・栄養補給(点滴など)は,医師や施設によって大きな差があると述べている1).患者にどのような点滴が実施されるかなどは,患者・家族の価値観や,そのメリット・デメリットのバランスにより総合的に評価されて決定する.臨床現場では終末期がん患者への点滴の実施の是非と,家族の点滴などに対する思いや希望の乖離に悩むことも多いのではないだろうか.そこで今回の研究では,終末期がん患者の家族が点滴などに対してどのような信念や認識を抱えているのか明らかにしたいと考えた.
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