連載 スピリチュアルケアを学ぼう! 【3】
スピリチュアルペインを理解する ~現象学的アプローチ~
長久 栄子
1
Eiko NAGAHISA
1
1真生会富山病院緩和ケアセンター/緩和ケア認定看護師
pp.723-726
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_723
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わが国においてスピリチュアルという言葉は1990年以降に使用されるようになり,ホスピスケアや緩和ケアにおける全人的苦痛の理解とともに,スピリチュアルペインとそのケアが取り上げられるようになった.2007年にがん対策基本法が施行されて以降,緩和ケアの推進とともにスピリチュアルケアへの関心が高まり,スピリチュアルペインやスピリチュアルケアに関する研究も年々増加している1).しかし,国内の臨床においてスピリチュアルペインを表現する場合,村田による「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」2)を用いることが多いが,現在スピリチュアルペインに関するガイドラインなどはなく,多様な解釈で用語が使用されている3)という現状がある.また,臨床ではスピリチュアルケアができるという看護師がいる一方で,患者のスピリチュアルペインに気づくことができない,ケアがわからないと考える看護師がいることも明らかになっている4).
「スピリチュアルケアを学ぼう!」の第3回では,スピリチュアルペインがなぜ医療現場の共通認識にいたらないのか,なぜ現場の看護師にとってスピリチュアルペインの理解とケアが困難なのか,その理由の根拠を明らかにしたい.そして現象学的アプローチを学ぶことによりスピリチュアルペインという体験の理解が可能となることを示したい.
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