連載 スピリチュアルケアを学ぼう! 【2】
スピリチュアルケアと対人援助論
疇地 和代
1
AZECHI Kazuyo
1
1まさやホームケアクリニック,わそら街なかナースステーション/がん看護専門看護師
pp.634-637
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_634
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はじめに
スピリチュアルケアとは,「スピリチュアルペインをケアすること」1)である.スピリチュアルケアの対象となるスピリチュアルペインとは,「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」と定義され,人生におけるさまざまな困難のなかで人が体験する生の無意味,無価値,無目的,孤独,疎外,虚無といった主観的な苦しみの体験である.患者はスピリチュアルペインを「生きていても意味がない」「みんなに迷惑ばかりかけている」「早くお迎えが来ないかな」など,多様な訴え方でこれを表出する.しかし,スピリチュアルペインは医学的症状とは異なり,実体がないためにとらえにくく,ケアの方法も明確でないことから,看護師個々の力量や人柄,経験などによって行われている現状がある.
看護師が対人援助のプロフェッショナルとして,根拠に基づくスピリチュアルケアを実践するためには,まず援助とは何か,何をどうすることか? ケアとは,どうすることか? という行為の意味づけと言語化が必要である.そこで連載第2回では,スピリチュアルケア実践の基礎となる対人援助論1,2)について述べていきたい.
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