連載 善先生のがんなにそれ講座 ~まずは相手を知らなあかんで~ 【3】
なにそれ7~9
廣瀬 善信
1
Yoshinobu HIROSE
1
1大阪医科薬科大学医学部病理学教室
pp.629-633
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_629
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なにそれ7 ゲノム異常ちゅーても簡単な話やあらへん!
がんの原因は遺伝子異常の蓄積である.遺伝子は約2万個あるといわれ,私たちの細胞の核に含まれる46本の染色体(DNAからなる)のどこかに乗っており,身体をつくるタンパク質の設計図となる.がん細胞がもつ遺伝子を調べてみると,アデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)の四種類の塩基からなる配列に,入れ替わりや抜けや追加などが生じている.ちなみにゲノム(genome)とは,遺伝子(gene)と染色体(chromosome)を合わせた造語といわれる.
なにそれ8 多いとも少ないとも言えん遺伝子変異!
腫瘍遺伝子変異量(tumor mutation burden:TMB)とは,正常細胞と比較して,がん細胞に生じている遺伝子変異の数のことである.がんゲノム医療でのバイオマーカーの1つであり,TMB10をカットオフ値*として治療選択の参考にしようという考え方が広がっている.単位としては,百万個の塩基中の遺伝子変異数であることに注意する.
なにそれ9 ドライバー遺伝子はツボやねん!
ドライバー遺伝子とは,がんの発生に必須かつ直接的に関与する遺伝子変異のことである.とくにこれをターゲットとして,さまざまな新規薬剤がこれまで開発されており,治療の面から注目されている.この流れは今後も主流であり続けると考えられる.
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