私の講義ノート
対人関係論—高等看護学院対人関係講義から
落合 国太郎
1
1名古屋市立看護学院
pp.57-59
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905994
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II 中庸
昔から中国には中庸という書物がある。この書物には“君子中庸,小人反中庸”とあり,数ある立派な書物のうち,人の道を説いた教養書の一つである。
中庸ということを辞書について見れば,出ず入らずほどほど宜い加減(過不及ないを中,変らぬのを庸という)不偏,不倚,過不及なきこと中道,中正の道ちゅうどころ十人なみ,尋常の人などとある。西洋でも中庸はアリストテレスの徳論の中心概念であって,理性によって欲望を統制し,過大と過小との中間を定めることで,それには知見を必要とする。例えば勇気は怯懦と粗暴との中間であるが,量的な中庸ではなく,具体的事情によって定められ,その基準に理性の知見が必要とされるとある。
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