連載 スピリチュアルケアを学ぼう! 【1】
スピリチュアルケアを学ばれる方へ ~スピリチュアルケアの現状と課題から対人援助論について~
古山 めぐみ
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1株式会社ナース・ステーション看護師,日本がん看護学会SIGスピリチュアルケア代表/がん専門相談員
pp.406-409
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_406
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はじめに
スピリチュアルペインとそのケアがわかりにくい,曖昧であるという言葉をよく聞く.わかりにくいとは,言葉が難解で抽象的であり,また観念的で臨床では使いにくい表現が多いということである.スピリチュアルペインとそのケアが理論的に説明でき,しかも臨床の現場で使える考え方と技術が示されたのならば,看護師は,がん患者のスピリチュアルケアを根拠と自信をもって実践することができ,実践したケアを評価することが可能になる.また,スピリチュアルペインとは何を,どうすることなのかを学び,そのケアの意味や根拠を言語化できなければ,専門職のケアとはいえないのである.
この連載では,スピリチュアルペインを定義・構造化し,援助的コミュニケーションによるスピリチュアルケアの方法について,現象学と対人援助論を基盤として示す村田久行氏の3次元存在論を基にした「終末期がん患者のスピリチュアルペインとそのケア:アセスメントとケアのための概念枠組みの構築」を紹介したい.連載を執筆する看護師は,村田久行氏が創立した,NPO法人対人援助・スピリチュアルケア研究会で,3次元存在論を基にしたスピリチュアルペインと援助的コミュニケーションによるスピリチュアルケアを学び実践してきた看護師である.
連載第1回目である本稿は,スピリチュアルペインが実際どのようにケアされているのかをスピリチュアルケアの現場や研究から概観し,課題を考察する.そして,3次元存在論に基づくスピリチュアルケアの基本となる「対人援助論」とは何か,について述べたい.
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