連載 がん患者・家族の質問に答えられる! 押さえておきたい“お金と制度”の話 【2】
再発したがんの治療を行っている時期の事例 ~お金の悩みを引き出すコツ~
酒見 惇子
1
Atsuko SAKAMI
1
1神戸大学医学部附属病院臨床心理士
pp.661-665
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_661
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はじめに
2人に1人ががんにかかる時代になっているが,一方で,医療の進歩により,今やがんは必ずしも死にいたる病ではなく,「がんとともに生きる」ことが可能となってきた.診断時や初期治療時は,自分の病気や治療について知り,これから起きることへの対処が必要となる.その後治療が終わっても,治療による体力の低下や有害事象,経過観察の不安や後遺症などもある中で,折り合いをつけながら生活を再構築していく必要がある.さらに,再発や転移がある場合,仕事の継続や中止,家事や育児など家庭内の役割への思いなど,その人の価値観や生き方を確認しながら,患者のやりたいことや大切にしていることを実現できるような治療法や療養方法について考えることが大切となる.そして,それらの実現には,経済的な問題が絡むことも多い.今回は,治療が長期化する中で生じる経済面の課題を抱えた事例を取り上げたい.
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