連載 母と子のこころの相談室から—思春期・1【新連載】
うつろいの時期
田中 千穂子
1
1花クリニック精神神経科
pp.805-808
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900325
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はじめに
前回のシリーズでは,乳幼児期から児童期までの問題について,日頃感じたり考えていることをまとめさせて頂きました。今回は,思春期――ここでは,小学校高学年あたりから,少し幅を広げて青年期前期あたりまでを含めることにします――の問題について,8回の予定でお話しさせて頂くことになりました。前回は「子どもを抱えた母親を助ける」という視点から母子援助についてお話ししましたが,今回もまた,「思春期の子どもを抱えた母親」にどう援助できるか,という方向から考えていきたいと思います。
乳幼児期の母子援助では,「母と子を一体として扱う」ところに重点がおかれていました。しかし思春期の母子援助の場合,子どもは母を慕う気持ちと母から離れていこうとする気持ちの間を揺れ動きますので,母子双方へのアプローチは,この点も考慮しなければなりません。
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