連載 遺族の声を臨床に生かす ~J-HOPE2016(多施設遺族調査)からの学び~ 【5】
遺族をめぐる課題 付帯4 遺族の社会的孤立に関する研究/付帯12 複雑性悲嘆のスクリーニング尺度であるBGQ(Brief Grief Questionnaire)とICG(Inventory of Complicated Grief)の比較
pp.579-583
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_579
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付帯4
遺族の社会的孤立に関する研究
前田 一石
Isseki MAEDA:協和会千里中央病院緩和ケア科
はじめに
がん患者の遺族は死別後に抑うつや複雑性悲嘆を経験することが知られている1,2).遺族の抑うつ・悲嘆を癒すには,患者の存命中からどの家族(遺族)が抑うつ・悲嘆のリスクが高いのかを認識し,適切にかかわる必要がある.社会的要因が抑うつ・悲嘆と関連することはよく知られているが,がん遺族の社会的要因については十分に研究されておらず実態が不明である.
付帯12
複雑性悲嘆のスクリーニング尺度であるBGQ(Brief Grief Questionnaire)とICG(Inventory of Complicated Grief)の比較
五十嵐 尚子
Naoko IGARASHI:東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
はじめに
悲嘆とは大切な人との死別後に多くの人が経験する悲しみや抑うつといった反応である.その中でも悲嘆反応の程度や機関が通常の範囲を超え,日常生活に支障をきたす場合を複雑性悲嘆という.複雑性悲嘆のスクリーニング尺度はいくつか開発されている1~4).使用されるスクリーニング尺度によって複雑性悲嘆の有病率は大きく異なっている5~7).しかし,同一対象におけるスクリーニング尺度間を比較した研究はない.スクリーニング尺度の比較をすることによって,今までできなかった研究間の複雑性悲嘆の有病率の比較を可能にする.比較が可能となることで複雑性悲嘆の研究領域に更なる知見が得られると期待される.
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