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irAEとチーム医療
免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibiter:ICI)は,これまでの抗がん薬と比較して画期的な治療効果を見せているが,その有害事象もこれまでの抗がん薬とはまったく異なる1).免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)は,自己免疫性疾患や炎症性疾患のような有害事象が多く,全身に多岐にわたる有害事象が出現しうる.irAEを早期に発見できるための患者教育やスクリーニング,緊急対応の整備が必要であるほか,irAEが疑われる際には,主治医だけでなく,専門診療科にコンサルトしすみやかな対応ができる連携体制が重要である.専門診療科の中には,これまでがん治療にはあまり携わっていない医師にも対応を求める場合があるため,ICIの作用機序やirAEの特徴,スクリーニング・対応方法に関して熟知してもらうことや,施設によっては対応可能な医師が常勤していないこともあるため,施設でのチームづくりや診療体制の整備,教育の充実が求められる.
また,irAEは症状の出現時期や患者の自覚症状も典型的でないこともあるため,多角的なアセスメントが必要である.たとえば,患者が倦怠感を訴えた場合には,甲状腺機能障害,腎機能障害,代謝障害,神経障害,心臓機能障害,肺疾患など多数のirAEが疑われるほか,原疾患の増悪やこれまでの治療の影響,細胞障害性抗がん薬や分子標的治療薬などとの併用の場合にはそれらの薬剤の影響,併存疾患の症状の変化,心理・社会面の影響など,多くの可能性を包括的にアセスメントする必要がある.そのため,医師だけでなく,看護師や薬剤師などの医療スタッフも含め,チームで投与管理や有害事象対策に取り組む必要がある.専門的に対応する診療科の例と主な有害事象は表1に記す.
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