特集 明日から使える免疫関連有害事象マネジメント ~免疫チェックポイント阻害薬の看護ケア~
第Ⅲ章 免疫関連有害事象マネジメント ~事例で学ぶ気づきのポイントとケアの実際~
免疫関連有害事象とは
平尾 千恵子
1
1東京大学医学部附属病院看護部/がん看護専門看護師
pp.140-143
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_140
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免疫関連有害事象とは
irAEとは免疫関連有害事象のことで,主に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与により引き起こされる副作用を指す.皮膚,消化管,肝臓,肺,内分泌器に比較的多く生じるほか,神経,筋などにも生じうる1)(図1).治療開始後比較的早期に出現するものには皮膚障害や胃腸障害があり,肝障害や下垂体炎はやや遅れて発症することが多い.低頻度ではあるが初回投与後,あるいは治療終了後数ヵ月以上経過してからもirAEが出現することもある.さまざまな形で出現し,その出現時期を予測することがむずかしいだけでなく,これまでのがん薬物療法の副作用とはまったく異なる管理が必要である.軽度であれば,慎重な管理のもとICIの治療を継続できる.しかし,中等度から高度のirAEについては臓器機能およびQOLの著しい低下と関連し,致命的な結果となりうることから,早期発見と適切な管理を各領域の専門医と協働して行うことが重要である.
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