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近年,がん薬物療法の適用拡大や新規薬剤の台頭により,患者の生存期間の延長が期待されている.その中で,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は,2014年に日本でニボルマブ(オプジーボ®)がはじめて承認され,その後も新規薬剤の承認が続き,今やがん薬物療法には欠かせない薬剤となった.また,承認当初の適応疾患はメラノーマのみであったが,現在,適用拡大に伴い,多くの診療科で免疫チェックポイント阻害薬が使用されるようになった.
臨床の現場で使用されはじめてから早くも5年が経過し,今後も適応疾患が拡大していく可能性がある途上だが,実際の臨床場面での看護師のアセスメントやケアが従来の細胞障害性抗がん薬と同様の看護の提供であるケースも散見されている.つまりは,ICIの看護としての視点が浸透していない現状があると言える.さらに細胞障害性抗がん薬とICIの併用療法も進んでおり,ますます,ICI服用に対するアセスメントやケアといった看護の視点が必要になってくると考える.
ICIの副作用は免疫関連有害事象(irAE)と呼ばれ,突然の嵐のごとく,急に出現する可能性があるため,一般的には副作用の発現の予測がむずかしい側面があることや重症化する可能性を秘めている.そのため,患者・家族にはこれまでの細胞障害性の抗がん薬との違いを明確にわかるような指導が必要となってくる.
そして,安全に投与すること,緊急に対応していくことで患者の副作用の早期発見や症状の重症化を予防し,予後を延長することに看護師として貢献することができればよいと考える.
本特集ではICIでの治療を受けている患者への具体的な支援の提供方法と不安を軽減する声掛けの例など,実際の臨床現場で使える知識と看護のコツを解説するものとした.読者にとってのケアの向上と,患者の安心につながれば幸いである.
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