特集 高齢者医療におけるポリファーマシー対策
特集にあたって
秋下 雅弘
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学教授
pp.7-7
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.07_0007-0007
- 有料閲覧
- 文献概要
超高齢社会を迎え,患者層の中心が75歳以上になる中,生活習慣病などの慢性疾患管理も発想の転換を求められている。その重要なキーワードの1つがポリファーマシー(Polypharmacy)である。ポリファーマシーは,単に薬剤数が多いこと(多剤服用)ではなく,薬剤が多いことに関連して薬物有害事象のリスク増加,服薬過誤,服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態であり,最近では重複・過量処方,有害事象のリスクが高い薬剤や不要な薬剤の処方など,あらゆる不適正な処方を含む概念として用いられる。つまり,10種類必要でしかも問題がなければポリファーマシーには該当せず,3種類でも問題があればポリファーマシーということになる。このように,本質的にはその中身が重要であり,ポリファーマシーの是正に際しても,一律の薬剤数削減を目指すのではなく,処方内容の適正化という観点からの介入が求められる。したがって,高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment;CGA)などを用いて患者の病態,生活,環境などから包括的に処方内容を判断し,多職種で対策を講じることが求められる。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.