特集1 免疫チェックポイント阻害薬 ~知って実践! 免疫関連有害事象マネジメント~
免疫チェックポイント阻害薬とは何者? ~抗がん薬となにがどう違うのか~
豕瀬 諒
1
Ryo INOSE
1
1京都薬科大学臨床薬剤疫学分野/がん専門薬剤師,がん薬物療法認定薬剤師
pp.297-300
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_297
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はじめに
これまで,がんに対する治療は局所療法である手術および放射線療法,全身療法である化学療法の三大治療が中心であった.近年,免疫療法の台頭により,がん治療に新たな選択肢が加わった.中でも,免疫チェックポイント阻害薬の登場は,多くのがん種において,細胞障害性抗がん薬を上回る治療成績を示し1~3),がんの治療方針を大きく転換させた.
一方で,免疫チェックポイント阻害薬の副作用として,自己免疫疾患に類似した免疫関連副作用(有害事象)(immune-related adverse events:irAE)が発現する.irAEは,細胞障害性抗がん薬や分子標的治療薬の副作用と同様の症状であっても異なる対応が求められる.そのため,免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬や分子標的治療薬の副作用の違いを理解することは非常に重要である.
さらに,免疫チェックポイント阻害薬は,単剤で用いられるだけでなく,細胞障害性抗がん薬との併用療法が数多く開発されており,臨床現場では多様な副作用に遭遇する.本稿では,免疫チェックポイント阻害薬の特徴について,これまでの化学療法で用いられた細胞障害性抗がん薬や分子標的治療薬との違いを中心に概説し,免疫チェックポイント阻害薬を含む代表的なレジメンについて述べる.
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