S状結腸癌多発肝転移に肝動注療法で完全寛解を得た12年後に肝転移をきたし腹腔鏡下に切除した1例

A case of liver metastasis 12 years after achieving complete response with hepatic arterial infusion chemotherapy for multiple liver metastases of sigmoid colon cancer

はじめに　大腸癌の肝転移再発に対する肝動注化学療法（hepatic arterial infusion chemotherapy：HAI）は全身化学療法に比べて，全生存期間に明らかな差を認めないという報告がある一方1），complete response（CR）にいたるなど良好な成績の報告も散見される2～15）．しかし，CRを得てから晩期再発をきたす症例の報告もあり，フォローアップ期間は定まっていない．今回，S状結腸癌切除後の多発肝転移にHAIでCRを得てから12年後に単発性肝転移再発をきたし，腹腔鏡下に切除しえたまれな1例を経験したので報告する．