Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
胸椎黄色靱帯骨化症(ossification of ligamentum flavum:OLF)は,わが国における後縦靱帯骨化症と並ぶ脊柱靱帯骨化症の代表的疾患であり,特に胸椎下位に好発する.高度進行例では脊柱管を高度に占拠し,しばしば硬膜骨化を伴うため,摘出術中に神経損傷や髄液漏などの重篤な合併症を生じうる1,2).これらの背景から,術前の詳細な画像解析に基づく戦略立案と,術中の確実かつ安全な視野コントロールがきわめて重要となる.従来,術中ナビゲーションや術中CTを用いた支援技術は,椎弓根スクリュー刺入や骨化巣の局在把握に有用とされてきた3~5).しかし,術者は術野とモニターを往復して確認する必要があり,三次元情報を脳内で変換して解釈せざるをえないという限界を有していた.そのため,特に胸椎の狭小椎弓根や硬膜骨化を伴う病変においては,精度と直感性を兼ね備えた新たな術中支援技術の導入が求められてきた.近年注目されるextended reality(XR)技術は,augmented reality(AR),mixed reality(MR),virtual reality(VR)を包含する概念であり,現実の手術環境に仮想画像を重畳表示することで,術者が視線を逸らさずに三次元構造を認識できる点に特徴がある6).特に,術中CTやナビゲーションとの統合によって,病変の深度や広がりを術野上に可視化できるため,脊椎手術領域における応用が急速に広がりつつある.本稿では,ハイブリッド手術室におけるXR技術を用いた術中画像支援の進化を概説するとともに,われわれが報告した複数の臨床研究・症例をもとに,胸椎OLF手術における有用性と今後の展望について論じる.

© Nankodo Co., Ltd., 2026

