Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
Augmented reality(AR)とは「拡張現実」を意味する.現実世界での体験に,コンピュータ上で作成した仮想画像や音声などのデジタル情報を重ね合わせ,新たな価値を生み出す「XR(cross reality)」と呼ばれる先端技術の1つである.すでに一般的にも広く浸透しており,2016年にリリースされ世界規模で話題となったスマートフォンゲームアプリ「ポケモンGO」が代表的である.まるで現実世界にポケモンが存在するかのごとく感じられ,ポケモンが現実世界に実在するかのような写真の撮影が可能となった.現在ではこのようなエンターテイメント分野に留まらず,インテリア業界の電子カタログ,建設業や製造業,物流業などなどさまざまなシーンでARの技術が日常的に活用されるようになっている.梅林ら11)も報告している通り,自動車のナビゲーションにも応用されている.一般的なカーナビゲーションはモニターの地図上に現在地や経路を表示する技術であるが,ARカーナビゲーションでは,モニターではなくフロントガラスなどに経路などの情報を投影して現実視野と融合する.運転手はフロントガラスから目を離すことなく情報を収集できることから,事故などの防止にも役立つ技術といわれている.医療の分野においてもARは比較的早期から取り入れられており,1990年代後半からすでに報告があり,近年はさらに多くの報告がなされている2,3,8,11,12).
われわれは,顕微鏡で見た現実の視野に解剖学的構造を描出することで脊椎脊髄手術においてARを実施している.本稿では,AR技術を利用した顕微鏡下脊椎脊髄手術におけるわれわれの取り組みについて報告する.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.