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I.はじめに
定位脳手術は1905年Holesley-Clerkにより創始され,1946年にSpiegelとWysisにより機能比的脳神経外科手術を目的とするヒト用の定位脳手術システムが開発された.
この定位脳手術がニューロナビゲーションのルーツである.MRIやCTの進歩によって精細な三次元的イメージング(volumetric imaging)が普及し,種々の三次元計測・三次元画像処理が可能になるにつれて,定位脳手術において術前に画像上でターゲットとアプローチを決定する作業は「画像空間(あるいは仮想空間)における三次元的手術計画・手術戦略情報の編成」という概念に止揚した.また定位脳手術の手技自体も「手術ナビゲーション」,すなわち実際の患者に対して位置的に対応付けされた画像を用いて手術を誘導する方法として捉え直され,様々に発展しつつある.特に,画像情報を縦横に利用するナビゲーション手術,またリアルな三次元画像を使った具体的で詳細な手術シミュレーション・プランニングが,手術の現場で真に役立つためには,外科医の新しい目としての機能が必要かつ重要なことである.この新しい目は,外科医が手術対象物をしっかり確認し・観察するための「目」を提供すると同時に手術中に手術を誘導(ナビゲーション)するための情報を「目」の情報と統合して提供する必要がある.この実現には,術中に画像で適切に誘導するだけではなく,コンピコータ上に生成されるイメージ空間を介し,手術スタッフが双方向的(インタラクティブ)に医療情報を共有するバーチャル・リァリティー(VR)技術も,今後一層重要な手法となる.手術ナビゲーション技術は,手術部位を単に観察するだけでなく,手術計画図やCT像などを手術部位と直接対比しつつ参照すること(増強現実:augmented reality)を可能にする.術者は術中いに常時,今操作している位置が本当に計画した通りの箇所であるかどうか,計画した通りに操作が進行しているかどうか,などを確認する必要があるが,手術ナビゲーション技術はこの作業を経験や勘に頼らず客観的に一定の精度で支援するものである.
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