Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
症候性側弯症は精神発達遅滞,骨脆弱性,麻痺,四肢・関節の変形や拘縮などを併発することが多く,また乳幼児期から発症し高度な早期発症型側弯症(early onset scoliosis:EOS)として進行するため,脊椎や胸郭・肺の成長を維持するには成長温存手術(growth friendly surgery)が必須となる.保存的治療に抵抗性の高度・進行性のEOSには,これまでアンカー部分のみの脊椎を固定し,6ヵ月に一度ロッドを延長するtraditional growing rod(TGR)法が行われてきた1).TGR法はEOSに対する有用な手術法であるが,合併症発生率が高く,延長のための多数回の全身麻酔や手術が必要であり,その結果創部感染,術中出血および延長が困難となり,軟部組織の拘縮や側弯内での自然骨癒合などの問題を併発する2).
近年,延長手術をなくすために磁気を利用して体外からロッドを延長する機器[magnetically controlled growing rods:MCGR,MAGEC rod:NuVasive社]が開発され国外で用いられてきたが,摩耗による金属粒子の沈着,延長の不具合,ロッドの折損・脱転などの合併症が報告され,再検討が行われている3).最近では繰り返し延長手術を必要としないgrowth guidance surgeryが開発され,頂椎部のみを固定するShilla法4)や,凸側の頂椎部の成長を抑制するanterior vertebral body tethering(AVBT)法5)が行われるも,いまだ安定した成績が得られておらず,また不具合例や再手術例も報告されており,課題を残している.
今回使用したone-way self-expanding rod(OWSER)[NEMOST:Euros社]によるgrowth guidance surgeryは,2013年にユーロ圏で承認後EOSに用いられるようになった6).従来法で生じたロッド折損,アンカーの脱転,深部感染,自然骨癒合などの合併症が強固な固定および多数回延長手術の回避により抑えられ,最終固定術の必要性もないため,最近小児脊椎疾患への臨床応用が増えている7,8).OWSERは国内での使用が未承認のため,患者や家族からの同意,倫理委員会(2018-99-32)からの承認を受けて手術を行い,術後短期間の経過であるが,その有効性と合併症を検証したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2024