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は じ め に
脳性麻痺における側弯は15~80%に発症し,片麻痺,対麻痺,四肢麻痺と重症度が増すにつれて罹患率は増加し,痙直型四肢麻痺では80%に側弯が生じる.側弯Cobb角の重症度も麻痺の程度と関連が強い.脳性麻痺の側弯症は通常3~10歳の間に始まり,思春期の成長期に進行する早期発症型側弯症(early onset scoliosis:EOS)である1).Saitoらは,15歳時に40°を超える側弯の85%が60°以上の側弯に進行することを報告している2).四肢麻痺,歩行不能児ほど重症化することが明らかで,実際には15歳以前に重症化している症例が多く,より早い時期での治療判断が迫られる.
重症例に対する装具療法を含めた保存療法は,側弯の進行を抑止する効果に限りがあり,脳性麻痺における側弯症の根治的治療は手術療法が唯一の選択肢である.一方,手術は術中大量出血,術後肺炎,深部創傷感染,周術期死亡,偽関節などの手術合併症が多いものの,進行性の側弯に対する脊椎固定術の有益性は多く報告されている.これまで脳性麻痺に対する手術療法として広範囲後方癒合固定術が行われてきたが,術後脊柱および胸郭の発育が障害されるため骨成熟が未熟な年少児には適応がなく,思春期以降に行われてきた.
脳性麻痺に対する脊椎矯正癒合固定術は侵襲度が高く,合併症も多いため,Miladiらは術後合併症を低減し,EOSを対象としたfusionless surgeryである低侵襲双極固定(minimally invasive bipolar fixation:MIBF)法を2011年より開始した3).それにより従来のtraditional growing rod(TGR)法に比し合併症は少なくなったが,TGR法に必須である反復延長手術をなくすためにロッドが自然に延長するone-way self-expanding rod(OWSER)[NEMOST,Euros社]を2014年に考案し,それを用いた手術を確立した4).その結果,手術部位感染率は16%から9%とさらに低率となり,さらに脊柱変形と骨盤傾斜の大幅な矯正ができ,強固な固定力のために術後外固定の必要もなく,早期離床,退院が可能となった.また,残存変形もロッドの自然延長により矯正可能で,そのうえ骨成熟終了後には脊椎癒合が得られるため最終的な脊椎矯正癒合固定術の必要もなくなり,繰り返し手術や入院によるストレスや心理的影響も軽減し,患児や介護者の生活の質(QOL)を向上させ,治療費の削減にもつながるEOSにとって理想的な手術法となった5).
これまで国内において脳性麻痺をはじめ神経筋原性側弯症に対し,fusionless surgeryは積極的に行われてこなかった.しかし,OWSERには多くの利点があることを考慮し,国内ではじめてOWSERを用いたMIBF法を脳性麻痺に施行した.なお,OWSERは国内での使用が未承認のため患者,家族からの同意,倫理委員会からの承認(2018-99-32)のもと手術を行い,術後短期間であるが,その後の経過と有効性について検証したので報告すると同時に,本術式について紹介する.

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