Japanese
English
小児整形外科up-to-date Ⅴ.体幹疾患
3.症候性側弯症
小児神経筋性側弯症手術の実際
Practicalities of pediatric neuromuscular scoliosis surgery
中村 直行
1
,
河邉 有一郎
1
N. Nakamura
1
,
Y. Kawabe
1
1神奈川県立こども医療センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kanagawa Children’s Medical Center, Yokohama
キーワード:
neuromuscular scoliosis
,
surgery
,
CP
,
spinal muscular atrophy
,
caregiver satisfaction
,
complication
Keyword:
neuromuscular scoliosis
,
surgery
,
CP
,
spinal muscular atrophy
,
caregiver satisfaction
,
complication
pp.160-165
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei85_160
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は じ め に
「本邦の小児神経筋性側弯症(neuromuscular scoliosis:NMS)への対応は後進国といわざるをえない」,日本側彎症学会の神経筋性・難治性側弯症委員会メンバーの中では共通認識がある.しかし,小児整形外科医が脊椎手術を好まず,脊椎外科医は小児を好まないという本邦の事情で,なかなか諸外国のようにこの治療がすすんでいない.その一方で,小児神経筋性側弯症手術が浸透する以前に医療技術進歩による医療ケア児の増加,重症心身障害児たちの長寿化のほうが先にやってきてしまい,今本邦の移行期医療,成人重症障害者介護の現場,施設がたいへんなことになっている(図1,2).
成人重症心身障害者を診ている医師たちから,「この脊柱変形は成人期に本当に苦労するので,子どものうちに治せるのなら治しておいてほしい」と懇願されることがたびたびあるが,小児神経筋性側弯症手術の推進に関しては,整形外科医に預けられても100%無理であり,小児科医の協力が必須である.だが,本邦の子ども病院に在籍する小児整形外科医で脊椎手術が執刀可能な医師は,驚くことに数名しかいない.そのような現状では,集学的な施設にいる脊椎外科医に手術をしてもらうかわりに,術前後の管理を小児科医に調整してもらうよりほかにない.「この子たちに手術をセットアップするなら,手術だけ脊椎外科医にやってもらい,後はすべて小児科で面倒をみます」くらいのスタンスでないと,本疾患で悩む子どもたちの明るい未来はついぞやってくる日はないであろう.
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