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は じ め に
神経筋原性側弯症(NMS)は,側弯症の中で特発性側弯症に次いで多いものである.脳性麻痺(CP),脊髄性筋萎縮症,筋ジストロフィーなどの基礎となる神経筋疾患の一部症として発生する.それらの疾患に罹患した患者は,筋力低下,痙縮,麻痺により,脊椎を支える筋肉を制御する能力を失う.NMSは脊椎全体に影響を及ぼし,成人期または骨格成熟後であっても急速に進行しつづける.
非歩行児の進行性は著しく,坐位バランスを崩し,褥瘡の発生,重度な胸郭変形に起因する進行性の拘束性呼吸不全を導く.また,これらの患者は,嚥下困難,呼吸器感染症,消化管機能障害のリスクが高くなる.
装具による保存療法は脊椎変形の進行を抑制することはできない.手術療法は側弯症の進行を抑制するためのゴールドスタンダードであるが,合併症率は75%を報告するものもある.しかし,最近の文献によると,NMS患者の生活の質(QOL)は脊椎固定術後に大幅に改善され,これらの利点は思春期特発性側弯症患者のものと同等と報告するものもある1).CPに伴う脊柱変形に関して,インプラントを利用した手術療法による臨床像の改善は数多報告されている(図1).脊柱変形の改善以外に示されているものとして,坐位の安定,患児の健康関連のQOLの改善,高い介護者満足度,体重増加などの報告2~5)がある.いずれにおいても,手術療法により多くのNMS児の未来が改善する可能性が期待される.実際,その死亡率をかえているとする報告も出てきている6).
NMS患者は,患者自身の問題として備わる麻痺性の筋緊張,胃瘻・気管切開といったメディカルデバイスの付帯,るい痩と呼ぶにふさわしい低体重,栄養状態のわるさなどに加え,家族背景や社会資産の利用状況など,手術療法を取り巻く各要素が本質的に複雑である.
術中合併症は,長い手術時間,大量出血,低い骨密度などに起因し,手術に求められる技術やスピードは低いものとはいえない.術後の主な合併症は,呼吸器系,インプラント関連,創傷関連,偽関節,胃腸系,神経系のものなどがある2,7,8).
当科は本邦で現在もっとも多くのNMS手術を行っている.安全なNMS治療を提供するため,日々,最新の情報の入手を心がけているが,本領域で特に近年の知っておくべき大きな変化は,疾患修飾薬の開発がゲームチェンジャーとなり,患者の臨床像が激変しつつある脊髄性筋萎縮症(SMA)である.

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