Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
4.周術期合併症対策
生物学的製剤を投与した関節リウマチ患者における術後感染
Risk factors of postoperative infection in patients with rheumatoid arthritis treated with biologics
杉村 祐介
1
,
小林 志
2
,
青沼 宏
3
,
千馬 誠悦
4
,
奥山 幸一郎
1
,
宮腰 尚久
5
Y. Sugimura
1
,
M. Kobayashi
2
,
H. Aonuma
3
,
S. Senma
4
,
K. Okuyama
1
,
N. Miyakoshi
5
1秋田労災病院整形外科
2平鹿総合病院整形外科
3市立角館総合病院整形外科
4中通総合病院整形外科
5秋田大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Akita Rosai Hospital, Odate
キーワード:
RA
,
postoperative infection
,
biological DMARDs
Keyword:
RA
,
postoperative infection
,
biological DMARDs
pp.146-148
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_146
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は じ め に
生物学的製剤により関節リウマチ(RA)の疾患活動性のタイトコントロールが可能となった.RA治療の4本柱には,薬物治療,手術的治療,リハビリテーション,ケアが含まれる1)(図1).薬物治療を行っても残存する四肢関節症状,機能障害に対してはリハビリテーションや関節注射といった保存的治療を行うが,それでも効果が不十分な場合は手術を検討する.すでに破壊された関節に対して手術は特に有用な手段であり,日本リウマチ学会(JCR)の『関節リウマチ診療ガイドライン2020』でも荷重大関節への人工関節置換術が推奨されている2).整形外科手術の周術期において,生物学的製剤は手術部位感染(SSI)を増加させるという報告3)と増加させないという報告4)があり,意見は一致していない.SSIに関しては個々の患者背景や危険因子も考慮する必要があると考えられ,JCRのガイドラインでも併存症を有するRA患者に対して整形外科手術を行った場合,SSIなどが増える可能性があり,特に注意し観察・治療を行うことが推奨されている5).
本研究では,生物学的製剤を投与中に整形外科手術を受けたRA患者の背景を調査し,SSIを生じた症例の危険因子を検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023