Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
関節リウマチ(RA)診療において,ステロイドは強力な抗炎症効果を有しており,1948年にMayo ClinicでRA患者にはじめて投与され,その効果が認められて臨床応用が始まった1).経口薬としてはプレドニゾロン(PSL)が広く使用されている.その一方でステロイドは呼吸器感染症やステロイド性骨粗鬆症など,RA治療中に注意すべき合併症に影響を与えることが知られている.RA患者の肺炎による入院リスクは,生物学的製剤よりもステロイドのほうが高いという報告や2),PSL 2.5mg/日未満の投与でも椎体骨折の相対危険率は1.55に上昇するという報告があり3),その使用にはリスクを念頭におく必要がある.
日本リウマチ学会の『関節リウマチ診療ガイドライン2020』4)では,ステロイドの使用は補助的治療に位置づけられており,治療の初期であるフェーズ1での使用は示されているが,生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)やヤススキナーゼ(JAK)阻害薬の使用が推奨されるフェーズ2ではステロイドは減量,中止の検討が必要とされている.また欧州リウマチ学会(EULAR)のrecommendationでは,2019年5)にはステロイドは早期に漸減すべきと記載されていたが,2022年6)には早期に漸減・中止すべきと記載が変更され,ステロイド中止の必要性がより強調された内容となった.
bDMARDsの登場でRAの炎症を抑えることが可能になり,ステロイドの投与も中止できるようになると考えられるが,実際にすべての患者においてステロイドが中止できるわけではないと思われる.本研究では,bDMARDsを投与したRA患者においてステロイドの投与状況を調査し,中止できない症例の要因を検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023