Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
4.周術期合併症対策
関節リウマチ患者の整形外科手術における手術部位感染,創傷治癒遅延の治療と生物学的製剤使用の関係
Association of biological/targeted synthetic disease-modifying antirheumatic drugs use with surgical site infection and delayed wound healing in orthopedic surgery in patients with rheumatoid arthritis
浪花 崇一
1
,
那須 義久
1
,
西田 圭一郎
1
S. Naniwa
1
,
Y. Nasu
1
,
K. Nishida
1
1岡山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Okayama University, Okayama
キーワード:
RA
,
biological DMARDs
,
SSI
,
delayed wound healing
Keyword:
RA
,
biological DMARDs
,
SSI
,
delayed wound healing
pp.149-153
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_149
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は じ め に
近年,関節リウマチ(RA)の治療においてメトトレキサート(MTX)に加えて生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(biological disease-modifying antirheumatic drugs:bDMARDs)やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬といった強力な抗リウマチ薬が広く使用されるようになってきている.近年では本邦のRA患者におけるMTXの使用率は63.4%,bDMARDsも22.9%に達しており,JAK阻害薬も0.9%に使用され始めているとの報告もある1).このような時代において,RA例の整形外科手術では手術部位感染(surgical site infection:SSI)や創傷治癒遅延(delayed wound healing:DWH)を防ぐため,周術期にこれらの薬剤をいかに管理するかが議論されてきた.現在でも周術期の休薬期間の是非や期間に関して十分なコンセンサスが得られているとはいいがたい.また,bDMARDsの使用割合が高くなっている現状では,SSI,DWHが発生した症例における抗リウマチ薬の再開の是非に悩むことも多い.
本稿では当科におけるbDMARDsやJAK阻害薬使用例のSSI,DWH発生に関するこれまでの研究結果を紹介するとともに,SSI,DWH発生症例における薬剤の投与状況や,治療経過に与える影響について報告する.
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