Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅵ.脊椎,骨盤疾患に対する保存的治療
腰部椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ化学的髄核融解術
Chemonucleolysis for lumbar disc herniation with chondroitinase ABC
岩田 久
1,2,3
,
松山 幸弘
4
,
加藤 文彦
5
,
千葉 一裕
6
H. Iwata
1,2,3
,
Y. Matsuyama
4
,
F. Kato
5
,
K. Chiba
6
1名古屋大学
2名古屋共立病院
3クリニックチクサヒルズ
4浜松医科大学整形外科
5中部ろうさい病院
6防衛医科大学校整形外科
キーワード:
chemonucleolysis
,
chondroitinase ABC
,
lumbar disc herniation
,
proteoglycan
Keyword:
chemonucleolysis
,
chondroitinase ABC
,
lumbar disc herniation
,
proteoglycan
pp.150-156
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_150
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はじめに―運動器疾患保存的治療の背景
病院は,医師あるいはコメディカルも含めてスペシャリストとジェネラリストということを考えていかなければ,今後の広い視野の上に立つ医療は不可能であると考える.スペシャリストを目標にした,いわば病院の形態変化が大学病院,総合病院に求められよう.この方向性はわるいことではないが,結果として患者無視の病院側の対応が問題となろう.たとえば,「あなたが手術的な治療を受ける希望がないならば,この病院にくる必要はありません」などと患者の気持ちなどまったく考慮しない医師もあるやに聞く.患者は途方に暮れてしまう.
筆者の専門は整形外科であるから,外科医療について触れておきたいと思う.かつて「外科医はメスで勝負する」,「切って切って切りまくる」,「神の手」などといわれた時代があった.筆者の大嫌いな言葉であり,表現である.最近はできるだけ侵襲の少ないレスインベイシブな方向性が打ち出され,関節鏡視下手術やロボット手術,遺伝子治療,再生医療などの方向性が求められている.ナノマシンといわれる材料の進歩も,遺伝子治療など細胞レベルでの治療がそのターゲットであるように思われる.当然のことながら外科医にとってもベーシックサイエンスについての理解が要求される.低侵襲性の治療をおし進めていくと究極的には外科医は必要なくなるのであるが(奇形や外傷などは決してなくならないので外科医は必要である),外科医療を残すかたちでの将来展望を外科医としては忘れてはならないと考えている.したがって,十分保存的治療も考え対処できる外科系医師も要求されよう.
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