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は じ め に
日本における骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)は60歳以上の女性に多く発生している1).外傷の既往がないことが多い,重症感がなく救急外来を受診しても早期に診断されないことがある,単純X線2方向撮影による画像検査では診断しづらいといった問題が指摘されている.また単純X線2方向撮影で診断しづらい骨折が遷延癒合や偽関節へ移行する危険性があることも指摘されている2).われわれは,初期診断や治療の遅れと動的因子の関与3)が手術介入を必要とするOVF増加の一因になっていると考えた.そこで2012年4月より高齢者のOVFを疑った場合,入院による精査と安静[側臥位を推奨し,ベッドアップは30°未満,ただしびまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)骨折はベッドアップ30°で固定]を指示し,その間にCTおよびMRIによる骨折型の評価と悪性腫瘍や化膿性脊椎炎などの感染性疾患との鑑別を行い,OVFが確定し2週間の安静による疼痛の軽減を確認後,Jewett型硬性体幹装具着用下に離床を許可する単一のプロトコルで保存的治療を行ってきた4~6).装具は,痛みとX線動態撮影7)で椎体の不安定性が消失するまで約12~24週間装着としている4~6).
原発性OVFに対する本プロトコルの骨癒合率は78~83%と報告4~6)してきたが,続発性OVFに対する有用性は不明であった.副腎皮質ステロイド(glucocorticoid:GC)は,続発性骨粗鬆症,すなわちステロイド性骨粗鬆症(glucocorticoid induced osteoporosis:GIO)を引き起こし,骨折リスクが高くなることが広く知られている8).7.5mg/日以上の内服で脆弱性骨折のリスクが著しく上昇することが指摘されている9)が,われわれが渉猟しえた限り,OVF後の保存的治療に対するステロイド投与の影響について明らかにした報告はない.
本研究の目的は,続発性OVFに対するわれわれの保存的治療プロトコルの有用性を明らかにすることである.
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