Japanese
English
特集 椎間板の基礎と臨床
腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ療法
Condoliase Therapy for Lumbar Disc Herniation
坂野 友啓
1
,
松山 幸弘
1
Tomohiro BANNO
1
,
Yukihiro MATSUYAMA
1
1浜松医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
腰椎椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
,
化学的髄核融解術
,
chemonucleolysis
,
コンドリアーゼ
,
condoliase
Keyword:
腰椎椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
,
化学的髄核融解術
,
chemonucleolysis
,
コンドリアーゼ
,
condoliase
pp.35-42
発行日 2023年4月17日
Published Date 2023/4/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202009
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はじめに
コンドリアーゼは,日本発の腰椎椎間板ヘルニア融解酵素である.この治療薬の土台になったのは,名古屋大学理学部の鈴木旺名誉教授が約50年前に土の中の微生物から齋藤英彦博士,山形達也博士らと抽出・精製した「コンドロイチナーゼABC」という多糖分解酵素である.当時,鈴木教授の教室の研究生であった岩田久名大名誉教授が,この酵素を使った腰椎椎間板ヘルニア治療薬の開発に取り組んだことが始まりである.基礎研究を経て2000年から臨床治験が開始され,2018年3月に世界に先駆けて本邦での薬事承認を受けた8,10,19).同年8月より椎間板内注射用製剤(ヘルニコア®)として発売されてから,これまで大きな合併症もなく,安全で有効性の高い腰椎椎間板ヘルニアに対する治療法として日常診療に定着してきている.コンドリアーゼによる髄核融解術は低侵襲で経済的であり,保存療法と手術療法の中間に位置するものである(表 1).これまでは,保存療法で症状が改善しなければ手術療法しかなかったところに,新たな選択肢が加わったことは,われわれ脊椎外科医のみでなく,患者にとっても大変に喜ばしいことである.
本稿では,その適応や手技,これまでの治療成績について述べる.
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