Japanese
English
特集 腰椎椎間板ヘルニアに対する化学的融解術NOW
腰部椎間板ヘルニアに対する化学的融解術—コンドリアーゼの歴史を振り返って
Chemonucleolysis with Condoliase for Lumbar Disc Herniation: From the Point of View of the History
岩田 久
1,2,3
,
松山 幸弘
4
,
加藤 文彦
5
Hisashi IWATA
1,2,3
,
Yukihiro MATSUYAMA
4
,
Fumihiko KATO
5
1名古屋大学
2名古屋共立病院
3クリニックチクサヒルズ
4浜松医科大学整形外科学教室
5中部労災病院
2Department of Orthopaedic Surgery, Nagoya Kyoritsu Hospital
キーワード:
コンドリアーゼ
,
condoliase
,
化学的髄核融解術
,
chemonucleolysis
,
腰部椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
Keyword:
コンドリアーゼ
,
condoliase
,
化学的髄核融解術
,
chemonucleolysis
,
腰部椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
pp.1044-1052
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201265
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
腰部椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ化学的融解術の対象は椎間板髄核である.線維輪はプロテオグリカン,コラーゲンなどゼラチン様の髄核を包む多層の線維状組織で,クッションの役割をする.髄核はプロテオグリカン,コラーゲンとゼラチン質からなり,水分を豊富に含んだ柔らかい核でゼラチン質の成分はグリコサミノグリカン,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸,ケラタン硫酸で,これらの含量は動物種によって違い,椎間板ヘルニアの起こしやすさと関係がある.
椎間板ヘルニアは椎間板中の髄核が線維輪を穿破し脊髄などの神経を圧迫し,下肢痛,腰痛を発症する疾患である.その治療は,基本的には保存的療法が主体であり,安静,臥床,非ステロイド性消炎鎮痛剤,ステロイド,筋弛緩剤などの薬物療法,理学療法,硬膜外仙骨ブロック,神経根ブロック,運動療法などが考えられ種々報告されている.こうした治療で効果がみられないとき,コンドリアーゼ化学的髄核融解術(chemonucleolysis)が,最近保険適用となり,手術的治療に至る前の最後の手段として行われようになった.以下,この新しい椎間板ヘルニアに対する椎間板注射治療薬剤であるコンドリアーゼの抽出,精製,特徴,臨床使用に至る基礎的研究などその歴史を振り返って,今後の展望に役立てたい.
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.