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は じ め に
現在わが国では頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)に対する術式として椎弓形成術(laminoplasty:LMP)がもっとも広く行われている1).その作用機序は,頚椎後方要素を除去することによるbow-stringing effectに基づいた脊髄の後方移動により前方からのOPLLによる圧迫から脊髄を逃がすという,いわば「間接的」除圧である2).LMPの主な利点として,手技が比較的容易で多椎間の病変に対処しうることなどがあり,OPLLに対しては第一選択ともいえる術式となっている.しかし一方で症例によってはLMPのみでは除圧不足に陥る危険性が報告されている.頚椎アライメントが後弯であることや大きな骨化巣などがOPLLに対するLMPが除圧不足となる主な危険因子とされている.
頚椎アライメントと骨化巣のサイズの2つの要素を同時にしかも非常に簡便に評価できる指標が長崎労災病院整形外科小西宏昭先生の考案されたK-lineである.K-lineはC2およびC7脊柱管前後径の中点を結んだ線で,骨化巣の頂点がK-lineに達しないものはK-line(+)と呼びLMP単独での除圧が可能であるが,骨化巣頂点がK-lineに接するまたは越えるものをK-line(−)と呼び,LMP単独では除圧不足に陥る可能性が高く,術式の検討が必須である3).
近年の脊椎インストゥルメンテーションの発達に伴い,頚椎においてもLMP(または椎弓切除術)にインストゥルメンテーションを用いた後方固定術を併用する術式(=後方除圧固定術posterior decompression with instrumented fusion:PDF)が広く普及してきた.LMP術単独と比較して固定の併用で良好な成績が報告されている4).本稿ではK-line(−)OPLLに対するPDFの治療成績ならびに問題点につき概説する.
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