Japanese
English
骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療 Ⅲ.脊椎骨折の病態と治療
骨粗鬆症性椎体骨折に対する外固定法別の治療成績
-――軟性コルセット,硬性コルセット,体幹ギプス間での比較・検討
Comparative study of conservative treatment outcomes of osteoporotic thoracolumbar compression fractures using a body cast, a soft brace, and a hard brace
片江 祐二
1
,
近藤 秀臣
2
,
松本 康二郎
3
,
西田 茂喜
4
Y. Katae
1
,
H. Kondo
2
,
K. Matsumoto
3
,
S. Nishida
4
1かたえ整形外科・リウマチ科
2小波瀬病院整形外科
3新小倉病院整形外科
4くらて病院整形外科
1Katae Orthopaedic and Rheumatology Clinic, Kitakyushu
キーワード:
osteoporotic vertebral fracture
,
elderly patient
,
Jewett type corset
,
body cast
,
conservative treatment
Keyword:
osteoporotic vertebral fracture
,
elderly patient
,
Jewett type corset
,
body cast
,
conservative treatment
pp.88-91
発行日 2020年10月31日
Published Date 2020/10/31
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei78_88
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は じ め に
椎体骨折は骨粗鬆症を有する高齢者に多発し,保存的治療が選択されることが多い.多くの場合外固定を行うが,その固定方法は軟性コルセットが43%,硬性コルセットが40%,体幹ギプスが32%,腰椎ベルトが28%(複数回答あり)と各施設で異なっているのが現状である1).
日本整形外科学会の多施設共同前向きランダム化試験の結果2)では,ギプス固定を行うと椎体の楔状化を防げる可能性があるが,硬性コルセットと軟性コルセットではあまり差がなかった.またKimら3)の報告では,椎体骨折後12週時点での硬性コルセット群,軟性コルセット群とコルセット非使用群の比較でOswestry Disability Index(ODI)スコア,背部痛のvisual analog scale(VAS)スコア,椎体前方圧潰率には有意差が認められなかった.これらから装具間の優位性はないという意見もあるが,当院と新小倉病院では急性期の骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)患者に対し,除痛と早期離床を目的に2011年から硬性コルセットであるJewettコルセットの処方を開始し,治療成績について報告してきた4~7)(図1).
軟性コルセット,硬性コルセットと体幹ギプスの2群間での報告は多くあるが,軟性コルセット,硬性コルセットと体幹ギプスの3群間で比較した報告は少ない.
そこで本研究の目的は,OVFの保存的治療において,軟性コルセット,硬性コルセットと体幹ギプスの3群間で治療成績を比較し,コルセット間の優劣を明らかにすることである.
© Nankodo Co., Ltd., 2020