Japanese
English
しびれ・痛みに対する整形外科診療の進歩 Ⅱ.疾患・病態別の診断・治療
1.頚椎・上肢
頚椎症に関連するしびれ・痛みに対する薬物治療の効果
-――神経障害性疼痛治療薬1stラインの薬剤を中心に
Experiences of 1st line medicines for neuropathic pain caused by cervical spondylosis
平井 高志
1
,
大川 淳
1
T. Hirai
1
,
A. Okawa
1
1東京医科歯科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
neuropathic pain
,
cervical spondylosis
,
pregabalin
,
duloxetine
Keyword:
neuropathic pain
,
cervical spondylosis
,
pregabalin
,
duloxetine
pp.96-99
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei74_96
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
超高齢化社会を迎える日本では,がんや生活習慣病による疾病だけでなく運動器における変性疾患を有する患者が増加することが予想される.そのなかでもとりわけ脊椎変性疾患に伴う疼痛は日常生活の質や生活動作能力を低減させ,医療費の負担を増大させうる.このためわれわれ整形外科医にとって十分な疾患に対する知識と効果的な保存的治療を提供する必要がある.頚椎症による頚部痛や上肢のしびれ・痛みは,腰痛,肩関節痛に続き比較的頻度が高い運動器疾患であり,痛みを強く訴える患者が多い.神経根症では主に単神経根による圧迫性障害で,73%が頚部痛をともない1),支配領域への放散痛と,ときに知覚障害を呈する.一方で,頚椎症性脊髄症は末梢神経のみならず中枢神経の圧迫性病変であり,四肢広汎にしびれや痛みが生じる.いずれの疾患も筋力低下をともなうことがあるが,痛みやしびれが症状の主体であることも多く,病態と治療を把握することは重要である.本稿では,当院において頚椎症による頚部痛・上肢痛を有する患者に対してデュロキセチンの使用効果を検証した.さらに頚椎症に対して手術療法を行ったのち,四肢にしびれや痛みが残存する症例に対して,プレガバリンもしくはアセトアミノフェンの内服治療のオープンラベルランダム化比較試験を行い,術後遺残する頚椎症の神経障害性疼痛への治療効果を検討したので紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018