Japanese
English
しびれ・痛みに対する整形外科診療の進歩 Ⅱ.疾患・病態別の診断・治療
1.頚椎・上肢
頚椎症性神経根症・脊髄症による上肢痛に対する診断と治療の進歩
Recent advance of diagnosis and treatment for arm pain caused by cervical radiculopathy/myelopathy
國府田 正雄
1
,
牧 聡
2
,
江口 和
3
,
安部 哲哉
1
,
船山 徹
1
,
山崎 正志
1
M. Koda
1
,
S. Maki
2
,
Y. Eguchi
3
,
T. Abe
1
,
T. Funayama
1
,
M. Yamazaki
1
1筑波大学整形外科
2千葉大学大学院整形外科
3下志津病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, University of Tsukuba, Tsukuba
キーワード:
cervical radiculopathy
,
cervical myelopathy
,
arm pain
Keyword:
cervical radiculopathy
,
cervical myelopathy
,
arm pain
pp.93-95
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei74_93
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Ⅰ.診断―画像診断の進歩
MRI,CTをはじめとする画像診断が飛躍的に進歩した現在でも,画像上の異常と実際の神経障害の不一致という問題点が残る.したがって今日でも従来どおり神経症状と画像上の異常の合致を確認することが頚椎症性神経根症・脊髄症による上肢痛診断の基本である.従来法であるMRIにおける脊髄内信号変化と臨床症状の相関については,脊髄内T2強調画像高信号,T1強調画像低信号変化や,多椎間にわたるT2強調画像高信号変化などが脊髄症に対する手術成績不良と相関することが報告されている1)が,脊髄内信号変化と上肢痛との関連は不明である.ヘルニアや頚椎症性変化に起因する椎間孔狭窄による神経根圧迫はMRIで観察可能だが,やはり上肢痛との関連は不明である.
近年のMRI技術の進歩により,脊髄・神経根障害を可視化できる可能性が高まりつつある.拡散強調テンソル画像(diffusion tensor imaging:DTI)は,対象となる組織内の水分子拡散を画像として捉えることで組織障害の程度を評価しうるMRI撮像方法である.解像度が低いことが最大の問題であったが,近年の技術の進歩に伴い脊髄の索路特異的な評価が可能なレベルにまで解像度が改善された(図1)2).また,脊髄症重症度の左右差とDTIパラメータの相関を示すことができた3).将来的にはDTIの精度をさらに高めることで痛み・しびれの原因病巣をMRIで診断できる可能性に期待がもたれる.
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