Japanese
English
スポーツ傷害の予防・診断・治療 Ⅰ.総 論
4.新しい治療機器・薬剤
スポーツ外傷・障害に対する多血小板血漿(PRP)療法
Platelet-rich plasma therapy for the sports-related injuries
小林 洋平
1
,
齋田 良知
1
,
西尾 啓史
1
,
若山 貴則
1
,
池田 浩
1
,
金子 和夫
1
Y. Kobayashi
1
,
Y. Saita
1
,
H. Nishio
1
,
T. Wakayama
1
,
H. Ikeda
1
,
K. Kaneko
1
1順天堂大学整形外科・スポーツ診療科
1Dept. of Orthopaedics, Juntendo University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
platelet-rich plasma(PRP)
,
sports-related injury
,
knee
,
OA
,
patellar tendinitis
,
muscle injury
Keyword:
platelet-rich plasma(PRP)
,
sports-related injury
,
knee
,
OA
,
patellar tendinitis
,
muscle injury
pp.56-62
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei73_56
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は じ め に
多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)は自己末梢血を遠心分離して得られる血小板を多く含む血漿分画であり,血小板から放出される種々の成長因子の作用により組織修復が促進されることが期待され,スポーツ外傷や障害に対する新規低侵襲治療法として注目されている.欧米では筋・腱・靱帯損傷や変形性関節症(OA)などに対して頻用されており,近年海外で活躍する日本人スポーツ選手が手術を行わずにPRP療法を受けてスポーツ復帰したことなどから,本邦でもPRP療法への関心が高まっている.
しかしながら,PRP療法のエビデンスは現時点で確立されているとは言い難く,海外を中心にPRP療法の治療成績に関する報告が散見されるものの,有効性を示すものと無効性を示すものが混在していて一定の見解を得られていないのが現状である.その背景には,報告により使用しているPRPの種類(質)や注射方法,疾患の重症度やリハビリテーションプロトコルなどが異なっていることがあり,有効性を議論するにはこれら複数の要因を整理して検討する必要がある.
本稿では,PRPの各種精製法と分類の紹介と筆者らの経験を含めた国内外の各種疾患に対するPRP療法の報告の比較検討を行い,問題点や今後の展望と課題についても詳述する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018