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は じ め に
変形性膝関節症(膝OA)に対する保存的治療として,日本整形外科学会が強く推奨する治療は,教育,有酸素運動,筋力強化訓練,関節可動域訓練,減量,歩行補助具(杖,歩行器),非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)である1).推奨する治療は,理学療法士による評価と指示・助言,膝関節装具(軽~中等度),外側楔状足底板,アセトアミノフェン,外用のNSAIDs,ヒアルロン酸関節内注射である1).一方,American Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)が強く推奨する保存的治療は,運動,教育,自己管理,内服および外用のNSAIDs,アセトアミノフェンである.中等度の推奨は減量,杖,膝関節装具,ステロイド関節内注射である.行わないことが強く推奨されているのは,外側楔状足底板使用とトラマドール塩酸塩,麻薬内服である.行わないことが中等度推奨されているのは,ヒアルロン酸関節内注射である2).外側楔状足底板とヒアルロン酸関節内注射の位置づけは日米で異なっている.外側楔状足底板の有用性を否定したメタアナリシス,システマティックレビューもある3,4).各種保存的治療無効例の患者が手術目的で紹介され,高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術を受けている.
外側楔状ではなく,後足部の関節を中間位に近づけるように内側を硬く支える硬性カスタムインソールは米国などで普及してきているが5),わが国では普及していない.その課題を解決するために3Dプリンタといったデジタル技術を活用して全国で処方可能な硬性カスタムインソール(ジャパンヘルスケア社)が開発された.本足底板の先行調査では,就労者110例の75%が疲れにくくなり,膝関節痛を有する14例の70%が疼痛軽減した.しかし,膝OAに対する効果は検証されていない.そこで本研究の目的は,硬性カスタムインソールは膝OAへの除痛効果があるか否かを多施設共同前向きコホート研究で検証することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2023