高齢者骨折に対する私の治療法
骨粗鬆症に伴う上肢の骨折 上腕骨近位端 中高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘固定の有用性
井上 和也
1
,
冨田 恭治
,
定 直行
,
辰巳 英章
,
竹口 尚樹
,
清水 隆昌
,
山岡 伸行
,
額田 昌門
1平成記念病院 整形外科
キーワード:
肩関節
,
関節可動域
,
髄内固定法
,
骨ネイル
,
上腕骨骨折
,
失血-外科
,
手術時間
Keyword:
Bone Nails
,
Fracture Fixation, Intramedullary
,
Humeral Fractures
,
Shoulder Joint
,
Range of Motion, Articular
,
Blood Loss, Surgical
,
Operative Time
pp.23-28
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2008055139
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著者らは最近5年間、中高年者の上腕骨近位端骨折に対してPolarus Humeral Nailを用いて観血的整復固定術を行なってきた。そこで、その治療成績ならびに本手技の利点と成績不良例を検討した。対象は17症例(平均年齢67.9歳)で、受傷から手術までの期間は1例を除いて1週間以内であった。1)手術時間は平均67分、平均出血量は70mlであった。2)術後3ヵ月に遠位screwのバックアウトを1例に認めた。また1例にのみ経過中に骨頭が脱転したため、後に人工骨頭置換術を施行した。それ以外では全例で骨癒合が得られた。3)術後3ヵ月での平均可動域は107.7°であった。術中整復操作が不十分であった3例には十分な可動域回復は得られなかった。4)全体の術後JOAスコアは平均85点で、骨頭壊死を生じた例はなかった。5)Polarus Humeral Nailの最大の特徴は、正確な手技を行なえば高齢者の骨であっても強固な固定が得られること、更に早期から運動療法の開始が可能であることであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007