高齢者骨折に対する私の治療法
骨粗鬆症に伴う上肢の骨折 上腕骨近位端 高齢者の上腕骨近位端骨折に対する治療 新しい髄内固定材料を用いて
平松 久仁彦
1
,
中原 一郎
,
杉安 謙仁朗
,
尾上 仁彦
,
城山 晋
,
倉都 滋之
1国立病院機構呉医療センター 整形外科
キーワード:
関節可動域
,
髄内固定法
,
骨ネイル
,
上腕骨骨折
,
失血-外科
,
手術時間
Keyword:
Bone Nails
,
Fracture Fixation, Intramedullary
,
Humeral Fractures
,
Range of Motion, Articular
,
Blood Loss, Surgical
,
Operative Time
pp.7-11
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2008055136
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著者らは上腕骨近位端骨折に対して新しい髄内固定材料All-in- One Nailを用い、これが高齢者において良好な治療成績を得たので報告した。対象は2003~2006年に施行した28症例(平均年齢76歳、平均観察期間10.9ヵ月)であった。1)合併手術が必要であった多発外傷4例を除くと、手術時間平均60分、平均出血量は67.5mlで、骨癒合は全例で1.5~4ヵ月で得られ、偽関節となった症例はなかった。2)術後、徐々に骨片の転位が11例に生じていたが、9例は軽度で、他の2例は若干固定期間延長を要した。3)経過中nailの骨頭穿孔を6例に認められたが、関節ROM訓練時にインピンジメントを生じる可能性があったのは2例だけであった。そして、この2例は術直後からnailの一部が骨外設置となった2例とともに、骨癒合確認後に早期に抜釘された。尚、Nailのバックアウトを6例、挿入孔の骨折を4例認めたが、後療法に影響はなかった。4)経過中に神経麻痺や感染、骨頭壊死を認めた症例はなかった。以上、これらのことからも本nailの最も良い適応は外反陥入骨折であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007