発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016030700
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84歳女。胸部圧迫感、四肢筋力低下および四肢しびれ感を主訴とした。高血圧および狭心症で通院加療中であり、10年前からふらつきに対し苓桂朮甘湯を内服していた。超音波検査などから急性心筋梗塞は否定的であり、血液生化学検査で著しい低カリウム血症を認めたことから、低カリウム性ミオパチーを疑った。苓桂朮甘湯は中止とし、カリウム製剤を用いてカリウムの補正を開始し、5日後にspironolactoneの内服を追加した。その後、臨床症状や検査所見が改善したため、低カリウム性ミオパチーと診断した。内分泌学的な精査が必要と考え、造影CTによる副腎の精査を行ったが、副腎に異常は認めなかった。しかし、偶発的にStage IVの膵癌を発見した。患者希望により更なる内分泌学的精査は行わず、spironolactoneの内服を継続したのみで退院となった。半年以上が経過した現在までカリウム血症の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015