発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011186228
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86歳女。咳嗽に対し麦門冬湯(7.5g)を開始され、約3年後に腰痛と両下肢の痺れに対し芍薬甘草湯(2.5g)を追加されたが改善せず、両下肢の浮腫が出現し、furosemide 10mgを追加された。しかし、浮腫は増悪し、筋力低下、歩行困難を来たし、原因精査にて腰部脊柱管狭窄症を指摘され手術目的で当院入院となった。検査所見でK 1.9mEq/l、Cl 91mEq/l、CK 826IU/lと低K血症、低Cl血症、高CPK血症を認め、K低下にもかかわらず尿中K排泄は抑制されておらず、低K血症に関するホルモン検査ではレニン活性、血清アルドステロンとも抑制されていなかった。偽性アルドステロン症を考え、腰部脊柱管狭窄症手術を延期し、漢方薬2剤およびfurosemideを中止し、一時的にK製剤およびspironolactoneを併用したところ、血清Kは正常化しADLも徐々に回復した。入院8日目には歩行可能となり、K製剤、spironolactoneとも中止とし、両下肢の痺れ、脱力、歩行障害も消失したため腰椎脊柱管狭窄症の手術は施行せずに独歩退院した。
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