発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005102259
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
67歳女.初診の約3ヵ月前,こむら返りに対して近医で芍薬甘草湯7.5g/dayが処方され,継続服用していた.3週間ほど前から上半身,顔,両手に痺れ・痛みを生じるようになり,症状は次第に増悪,全身の痺れ・脱力感のため室内歩行困難となり受診した.血液生化学検査と尿検査で筋原性酵素値の上昇を認め,血清カリウム値は著明に低下していた.血液ガス分析で著しい代謝性アルカローシスを認め,内分泌検査ではレニン,アルドステロンの異常低値が認められた.心電図検査ではQT時間の延長を認めた.これらの所見から偽性アルドステロン症,低カリウム血性ミオパチー,横紋筋融解症と診断し,原因は甘草製剤に含まれるグリチルリチンであると考えた.芍薬甘草湯の服用を中止させ,カリウム製剤を経口・経静脈的に補給するとともに,遠位尿細管でのカリウム喪失を抑制する目的で抗アルドステロン薬を併用したところ症状,検査所見とも改善した
©Nankodo Co., Ltd., 2005