発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008049456
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
61歳女。患者は歩行困難を主訴とした。高血圧症の既往があり、2006年からは転倒による右下肢痛のため甘草2g(グリチルリチン80mg)を内服していた。今回、低K血症を認め、精査によりグリチルリチンによるコルチゾールからコルチゾンへの変換障害が疑われた。所見では血漿レニン活性、アルドステロン濃度は抑制される一方、血中ならびに尿中ミオグロビンは測定限界以上を示し、筋原性酵素であるアルドラーゼの上昇を認めた。心電図ではT波の平低化を認め、甘草による偽性アルドステロン症、低K血症による横紋筋融解症と診断された。対処としてK製剤を経口・経静脈的に投与し、腎不全予防のため補液による強制利尿を行なった。その結果、血清Kの正常化とともに徐々に運動機能は回復し、麻痺を残さず患者は退院なった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007