発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012315587
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62歳女。約14年前に腸管Behcet病と診断され、サラゾスルファピリジンで安定していた。約8年前に回腸潰瘍から下血し、絶食静脈栄養管理、メサラジンとコルヒチン投与後にステロイド療法でコントロール可能となり、その後はメサラジンのみで寛解状態を保っていた。今回、突然に腹痛が出現し、回盲部に打ち抜き様の円形多発性潰瘍を認めて緊急入院となった。ステロイド大量療法を開始し、免疫抑制剤アザチオプリンの追加、メサラジンとコルヒチンの増量を行ったが、治療抵抗性病態で改善せず、TNF阻害薬インフリキシマブを投与した。腹痛、CRPに即効性を認めたが、投与8日後に大量に下血を認めた。内視鏡を行ったところ、露出血管からの出血を認めたため、クリップによる止血操作と輸血を行った。症状は著明に改善し、2回目のインフリキシマブ療法施行で腹痛は消失し、CRPも陰性化した。その後、メサラジンとアザチオプリンの併用により完全な緩解状態となり、盲腸潰瘍は治癒瘢痕化状態であった。維持治療として8週毎にインフリキシマブ療法を継続し、2年経過現在も緩解を維持している。
©Nankodo Co., Ltd., 2012