発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012315586
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67歳男。52歳より他院にて糖尿病の加療中であった。HbA1cは8.7%と悪化傾向で、意識レベルが低下したため救急搬送された。血中ケトン体の上昇はなく、高炎症反応、高血糖、代謝性アシドーシスを認めた。CTで右臀部皮下を中心に不整なlow density areaを認めたため、腰臀部膿瘍が疑われた。膿瘍にドレナージおよびクリンダイマイシン、セファゾリン、高血糖に対して持続インスリンを開始した。感染巣から黄色ブドウ球菌が培養され抗生物質に感受性があると思われたが、第3病日に突然吐血し、心肺停止となった。蘇生後に行った上部消化管内視鏡では、中部食道に半周性潰瘍、下部食道に多発潰瘍を認めた。下部食道からの出血に対して止血処置を行ったが、低酸素脳症を認め人工呼吸器管理となった。その後、膿瘍の縮小傾向であったが肺炎を併発し、痰培養からセラチア菌が培養された。抗生物質をmeropenemに変更したが改善なく、第17病日に死亡した。病態より急性壊死性食道炎の亜型と考えられた。
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