発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012315588
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78歳男。糖尿病、高血圧、C型慢性肝炎で通院中であった。1週間前から全身倦怠感、家族から黄疸を指摘され受診した。総ビリルビン(T-Bil)の上昇、貧血、超音波で下部総胆管結石、肝内胆管拡張を認め、総胆管結石による閉塞性黄疸の診断で入院となった。全身皮膚黄染、眼球結膜黄疸、直接ビリルビン優位の黄疸はあるが、肝胆道系酵素上昇は軽度であった。また、大球性貧血を認めた。C型肝炎ウイルス(HCV)の血清型はgroup 2、HCV RNAはPCR法で5.8log copy/mlであった。腹部CTでは、多数の胆嚢内胆石、拡張した総胆管内部に径10mmの結石を認め、肝の軽度萎縮、表面不整、軽度の脾腫を伴った肝硬変所見を認めた。Vater乳頭切開でバスケットカテーテルおよびバルーンカテーテルによる総胆管結石除去術を施行した。結石は黒色で、ビリルビン結石と考えられた。胆管ドレナージ後に黄疸は改善したが、間接ビリルビン優位と同時に貧血が進行し、輸血に不応であった。内視鏡で出血源が認められず、尿中ヘモジデリン陽性、網状赤血球高値、直接Coombs試験強陽性より、C型慢性肝炎に伴う温式自己免疫溶血性貧血が強く疑われた。プレドニソロンを開始し、2週間毎に漸減、10mgまで減量した。LDHは200IU/L前後、ビリルビン値正常となり、輸血は必要ない状態となった。
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