発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009320187
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頸部リンパ節腫脹を主訴とする54歳女性について検討した。全身CTで両側頸部リンパ節腫大の他、右腎に内部が不均一に造影される腫瘤性病変を認めた。腹部造影MRIも、右腎の腫瘍を示した。頸部リンパ節生検では濾胞性結節を多数認め、L26・CD10・bcl-2陽性、フローサイトメトリーによる細胞表面抗原解析ではt(14;18)(q32;q21)がみられた。悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫、Grade 1)と腎細胞癌の同時発生と考え、右腎摘除術を先行した。周囲リンパ節への転移や断端に腫瘍はみられず、手術は根治術であった。その後、濾胞性リンパ腫の臨床病期は進み、IVBとなり、術後3ヵ月よりR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン、硫酸ビンクリスチン、プレドニゾロン)を開始した。6コース終了後のPET-CTに異常集積はなく、術後1年経過現在、悪性リンパ腫、および腎細胞癌の再発はみられない。重複癌症例は増加傾向にあり、悪性腫瘍症例では重複癌も念頭において全身検索を進めていく必要性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2009