発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010187312
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76歳女。10年前に右腎細胞癌で根治的腎摘出術を受けていた。左大腿前面に4×3cmの弾性硬の腫瘤を触れ、造影CTで腫瘍は中等度の造影効果がみられ、腫瘍への太い流入血管を認めた。MRIでは大腿直筋内に5cm大の占拠性病変があり、T1強調像で筋肉より若干高信号、T2強調像で内部不均一な高信号を示し、ガドリニウム造影像で造影効果がみられた。針生検を行い、病理組織所見は胞体が淡明で軽度に腫大した核をもつ腫瘍細胞が、細い血管性間質を伴って胞巣状に増殖しており、腎細胞癌の筋肉内転移と診断した。全身CTおよび骨シンチグラフィーでは左大腿以外に遠隔転移は認めず、腎摘出術後10年という長期経過後の単発性転移であるため、切除による根治性が高いと判断して広範切除術を施行した。術後経過は良好で、術後6ヵ月の現在、再発および遠隔転移は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010