発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009171900
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58歳男。転倒して左後頭部を強打した直後より頭痛と嘔吐が出現し、受傷後6日のCTで両側前頭葉の脳挫傷と診断された。入院時検査ではNaとClの軽度低下以外に異常所見はなく、頭部CT、MRIにて外傷性くも膜下出血はみられなかったため、安静と投薬で対応したが、頭痛、嘔気による摂食不良が続いた。入院5日目にはNaとClがさらに低下し、尿へのNa排泄過多を示したが、血清ADHは正常であり、中枢性塩類喪失症候群(CSWS)による低Na血症と考えて生理食塩水の持続点滴静注を開始したところ、頭痛、嘔気は改善した。臨床的に低Na血症と脳挫傷の症状の区別は困難であるが、脳挫傷ではCSWSが出現する可能性を念頭に置き、定期的に電解質をチェックする必要があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009